初恋マニュアル
軽いいたずらだったはずな行為は、いじめに近いような雰囲気をかもし出して、どうしていいかわからなかった。



「…っにしてんだよ!お前ら!」



男子と女子の言い合いに割って入る声がして、みんなが一斉にそっちに注目する。



「やっていい相手とそうじゃない相手くらいわかるだろ!?」



その声にすぐさま反論したのは夏帆ちゃんだ。



「ちょっと待ってよ、羽生。やっていい相手ってだれのこと?」



「ほーんと、聞き捨てならないんですけどぉ」



愛里もそれに参戦して、助け舟を出したはずの羽生くんを責め立てる。



「え?いや、そーいう意味じゃ……」



一瞬ひるんだすきをついて、今度は男子たちが調子に乗り始めた。



「つーか、羽生が一番よろこんでたりしてー」



「はぁ!?なんだよ!それ!」



「そーだよなぁ、丸山とうわさになってたしぃ」



「いいかげんにしろよ!お前らぁぁぁ!」



笑い声と怒鳴り声とたくさんの声が混じり合って、そのままバタバタと足音が聞こえたと思ったら、それらは廊下の向こうへと消えていった。

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