初恋マニュアル
「あの……ね?」
なにを言おうとしてるんだろう?
三浦くんへの気持ちを断ち切るために、あきらめるために、私の口は勝手に動き出す。
「三浦くん、前に言ってくれたでしょう? 私のこと大切な友達だって」
私の頭に乗せていた三浦くんの手は宙を浮いたままで、私が話し出すと同時に下にそっとおろされた。
「うん」
心臓の音がバクバク聞こえてくる。
本当はこんなこと言いたくない。
でも、言わなきゃ前に進めない。
「私もね?そう思ってる。三浦くんのこと、大切な友達だって。だから前みたいに普通に話したりできないかな?」
さけられてることを責めてるわけじゃないけど、同じクラスでずっとあんな風に話さないなんて、愛里だって気づくほど不自然なわけで。
前みたいにもどれないかなって、私が告白する前の三浦くんにもどってくれないかなって、勝手だけどそう思ってた。
しばらくだまったままだった三浦くんが、小さくフッと息を吐く気配がした。
私は彼の顔が見れなくて、ずっと下を向いたままだ。
「最近さ……」
「えっ?」