初恋マニュアル
「あーうん……でもいいんだ。友達にまたもどれるならそれで」
ほんとはよくないけど、だからってどうすることもできない。
誤解が解けたからって、三浦くんと付き合えるわけでもないし、逆にそう思ってくれてた方が、彼にとっての言い訳になるのかな?なんて考えてる自分もいた。
ふうん……と少し考えるようなそぶりを見せた羽生くんは、急になにか思いついたのか、そうだ!と目をかがやかせる。
「ねぇ、じゃあ今度の休みさ。ちょっと買い物付き合ってくれない?」
「はっ?なんでそーなるの?」
さっきまでと全然ちがうトーンで、いつもの羽生くんの調子で、なんでもないことみたいにそう言われてテンパった。
「えーだってさ、孝弘に遠慮しなくていいなら、俺も友達なんだし?いーかなーって」
満面の笑みを浮かべて、子供みたいにはしゃぐ羽生くんに、なんだかおかしくなる。
「だからって、急に休みに出かけようとか話飛びすぎでしょ?」
笑いながらそう言うと、そーかな?と首をかしげてからその理由を口にした。
「いや、実はもうすぐ妹が誕生日で。小3なんだけど女の子ってなにがいんだかわかんなくてさ。それで一緒に選んでもらえたらなーって」
羽生くんに妹がいたなんて初耳だった。
妹思いなんだなとは思ったけど、2人だけで買い物とか、いくら羽生くんでもハードルが高すぎる。