初恋マニュアル
「羽生くんて、妹さん思いなんだね?」
おもわずにんまりしながら、ポロっとそう言ってしまうと羽生くんはびっくりしたように私を見た。
「ええ!そうかな?丸山は?兄弟いないの?」
「いるよ?うちも妹が。でも2つしかちがわないし、私よりしっかりしてるから、どっちが妹かわかんない感じなの」
だからやさしいなぁと思って、自分のおこづかいでプレゼントとか、と続けると、羽生くんは照れたように笑う。
「そうかなぁ、でも今月こづかいピンチかも」
そんな会話をしながらハンバーガーも食べ終えて、そろそろ行こっか?って立ち上がりかけたときだった。
あれ?っと通りすぎざまに声をかけられて、悪夢がよみがえる。
見上げるとやっぱりそこには見たことのある顔が2つ並んでいた。
「やっぱそーだ、あんときの!」
「あれぇ?今日はあの可愛いお友達はいないの?」
どーしよう……最悪だ。
しかもよりによって羽生くんといるときに会っちゃうなんて。
でもよく考えたらこの間、愛里といたときもこの駅だったわけだから、少しは警戒するべきだったのかもしれない。
「……こんにちは」
一応、そうあいさつをして、だれ?って顔をしてる羽生くんに、行こうって感じで立ち上がる。