初恋マニュアル
「ちょっ!丸山、さっきの知り合い?孝弘って言ってたけど、うちの学校の三浦孝弘のこと?」
まだ息が整わないまま、羽生くんが次々に質問をしてくる。
ーーそーだよね?そりゃそうなるよね……なにも聞かないでくれって言う方が無理な話だもん。
「どういうこと?先輩ってなに?俺、頭こんがらがってんだけど」
どうしよう。なにも事情を知らない羽生くんにどこまで話していいのかわからない。
目を泳がせながら、どう話そうか頭の中でグルグル考えていると、羽生くんが困ったように頭をかいた。
「丸山が話しづらいなら、孝弘に直接聞こうか?」
そう言われて、「だめ!」とあわててさけぶ。
羽生くんはびっくりしたようにこっちを見たけど、そこははっきりさせとかないとって必死だった。
「ごめん、三浦くんには今日のこと言わないで?ちゃんと、話すから……」
駅の改札近くにあるベンチを見つけて、私と三浦くんはそこに並んで座った。
少し奥まった場所にあるから、外よりは暖かい。