初恋マニュアル
ようやく愛里が足を止めたのは、可愛らしいけどちょっぴりセクシーな店の前だった。


店員らしきお姉さんは、ものすごく短い丈のワンピースを着ていて、見えかくれする太ももになんだかドキドキしてしまう。


髪もオレンジがかった茶色で、きれいに巻かれていて大人の女の人って感じだ。


私みたいな子供がとてもとても着れるような洋服じゃない。


圧倒されてる私なんかおかまいなしに、愛里はどんどん店の中に入っていく。


お姉さんと何か話しながら、なん着かワンピースを胸にあてて、その中から白のニットとツイードのモノトーンのワンピースを選ぶと、さっきのアロマキャンドルのときみたいにさっさと決めて会計を済ませてきた。



「はい、次、行くよ?」



どうやらこの店は自分の洋服を買うためだったらしい。


私には全然似合いそうもなかったから、いいんだけど……


私を連れて次に向かったのは、さっきみたいなセクシーじゃないけど、可愛らしいお店だった。



「わぁ、可愛い」



思わずそう言うと、愛里は少し得意気になる。
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