初恋マニュアル
そして連れてこられた場所。それが早苗さんの店。


愛里は横で楽しそうに私の身長より大きなクリスマスツリーに飾りをつけてる。


どうみても、計画的だった。



「愛里、どういうこと?愛里んちでやるんじゃなかったの?」



早苗さんに聞こえないように、こそこそ耳元で聞いてみる。


愛里がそれに答えようとしたそのとき、カシャンと店の扉が開いた。


ふりかえるとそこには――



「お待たせー」



「おくれてごめんね?」



プレゼントらしき袋をかかえて現れたのは、夏帆ちゃんと由宇ちゃん。


この様子だと二人とも今日のことを知ってたみたいだ。


知らなかったのって、私だけ?


三人の顔を見比べて目をパチパチしていると、みんなはどんどん上着を脱いで、テキパキと愛里を手伝い始めてる。



「ほら、美羽もボーッとしてないでテーブル運ぶの手伝って?」



言われて私はしかたなく、のそのそとみんなの輪に加わった。



「美羽ちゃん、可愛いね?そのワンピースよく似合ってる」



由宇ちゃんがとなりでイスを運びながらにっこりと笑う。



「ありがとう、由宇ちゃんも可愛い!ふわふわであったかそう」


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