初恋マニュアル
もこもこの真っ白なニットにさわってみると、ほんとにふわふわしていて気持ちいい。



「由宇ちゃん、今日ここで女子会やるって知ってた?」



さっき愛里に聞きそびれたことを、そっと聞いてみる。


すると由宇ちゃんは、不思議そうな顔で目をパチクリさせていた。


なに言ってるの?みたいな、そんな顔。



「あれ?愛里に聞いてない?」



今度はこっちが目をパチクリさせる番だ。



「え……なにを?」



「五十嵐くんたち、このあと6時くらいに来る予定なんだよ?」



ーーはぁ!?なにそれ!聞いてない!



しかも『たち』って言った?てことは五十嵐くん以外にも男子が来るってこと?



「もしかして知らなかった?」



由宇ちゃんがきづかうような目でこっちを見る。


私はぼうぜんとしながらコクンとうなずくと、愛里のいるクリスマスツリーの方をにらみつけた。


私の視線に気づいた愛里が、ニッと笑って指を二本立てて見せる。


まさかとは思うけど、なんか変なことたくらんでないよね?


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