初恋マニュアル
羽生くんと出かけた日、帰ってすぐにその日あったことを全部愛里に報告したんだけど、そのときやけにはりきっていたのを思い出す。



『わかった、私にまかせといて』



そう言われたときは、よく意味がわかってなかった。


まさか、こんな計画をちゃっかり立ててたなんて……


たぶん、五十嵐くんたちと一緒に三浦くんも呼んだんだ。


しかも、早苗さんまで巻き込んで。


はぁ……とためいきをついてがっくりと肩を落とすと、由宇ちゃんが心配そうに顔をのぞきこんできた。



「大丈夫だよ?三浦くんもちゃんと来るって五十嵐くんが言ってたから」



良かったね?そんな顔でにっこり笑ってそう言うと、由宇ちゃんはまた作業にとりかかった。


三浦くんに告白してフラれた話は愛里にしかしてないから、当然といえば当然なんだけど、前に由宇ちゃんにはチラッと話したことがあったから、少しだけうしろめたい気持ちになる。


それに愛里の気持ちはうれしいけど本当はもう少し時間をかけて、ゆっくり向き合おうと思ってた。


まだ三浦くんの傷は、トラウマは、消えたわけじゃない。
< 371 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop