初恋マニュアル
ーー三浦くんは、私が来ることを知ってるのかな?本当に来てくれるの?
6時が近づくにつれて、私はだんだん不安になっていった。
ーーもし、来てくれたとして、ちゃんと私と話をしてくれる?私だけ無視されたりしない?
そんな気持があとからあとからわいてくる。
ひとりでそんなことをモヤモヤと考えてるうちに準備はどんどん進んで、みんな自分が用意してきたプレゼントを1ヶ所にまとめて置いていた。
あとでみんなでプレゼント交換するためだ。
取り皿とグラスをセッティングして、あとは料理と男の子たちを待つだけ。
こんな風にクリスマスを過ごすなんてはじめてだから、なんだかすごく緊張した。
「あ、もうすぐ着くって」
夏帆ちゃんが自分の携帯を確認しながらそう言った。
照れたように笑いながら、先輩だけ年上だから浮いちゃうかなぁなんて心配してる。
それを見てたら、なんだかすっかり彼女って感じで、ちょっぴりうらやましかった。
テニス部の阿部先輩は、一つ上の二年生。
よく考えたら、三浦くんはその先輩よりもさらに上なんだなと思い出す。
それからすぐにお店のドアが開く音がした。入ってきたのは知らない顔。
「先輩!こっちです!」
夏帆ちゃんがうれしそうに手をふりながら声をかけるのをみて、それが阿部先輩なんだとわかった。