初恋マニュアル
ーーそっか……そうだよね?羽生くんも呼ぶよね?
このあいだの買い物の日、羽生くんはもう私のことはあきらめるって、そう言った。
少しだけさみしいような気持ちがしたのは、私のわがままだ。
でも、三浦くんのことをあきらめるなって背中を押してくれたのも羽生くんで、だからこそがんばろうって思えた。
だけど、やっぱりまだちょっぴり気まずくて、学校ではあいさつするくらいしか話せなくなってた。
三浦くんにされて悲しかったことを羽生くんにしてる自分がすごくいやだったのに、彼は私を見つけるとすぐにいつもと変わない笑顔を向けてくれた。
「あれ?三浦くんは?」
由宇ちゃんが三浦くんがいないのに気づいて五十嵐くんにそう聞いた。
さっき来るって私に言ったから、心配になったんだろう。
「あれ?来てない?おっかしいな」
「えぇ!一緒に来るって言ってたじゃん!」
こっちの二人はすっかり恋人同士って感じで、夏祭りのときとは雰囲気が全然ちがう。
由宇ちゃんのが五十嵐くんよりも強くなってることにすごくびっくりした。
それと同時にやっぱり私がいるから三浦くんは来ないんじゃないかって、不安になる。
そんな私の不安を見抜いたのか、羽生くんが横から口をはさんだ。
「絶対来るって言ってたから大丈夫だよ」
由宇ちゃんがそれを聞いてホッとしたような顔で息を吐く。
羽生くんはチラッと私を見ると、安心させるようにニコッと笑った。