初恋マニュアル
愛里はいつもそんな風に言ってくれるけど、私は自分に自信がない。


低い身長に軽い体重、そして幼い顔つきはどう見ても子供みたいで……


出るとこは出てる愛里みたいに女性らしいところが私には見当たらない。




「私は……いいの

愛里の話を聞いてるだけで、自分も恋してる気分になれるから」




そう、少女漫画では得られない、リアルな恋愛模様が愛里の話で得ることが出来る。


いつか王子様が現れるかもなんて、さすがにそんなことは思わないけど、それでも今は頭でいろんな空想をすることが楽しかった。




「美羽……あんたはほんと恋に恋しちゃってるよね?」





頭に描く、まだ見ぬ彼との恋は、私をドキドキさせてくれる。


愛里の話はそんな私の妄想を膨らませてくれる、大事なスパイスだ。




「いいんだもん、私にはまだリアルな恋愛なんて無理」




シャーペンの彼の顔さえよく知らない私が、恋愛なんて出来っこない。


男子の顔はまともに見たことがないし、見たとしてもモザイクがかかったみたいにモヤッとして見える。

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