初恋マニュアル
体育祭当日――
その日は雲一つない青空で、風もちょうどいい具合にふいていた。
これが体育祭でなければ、すごくいい天気だって言えるんだけど、雨で中止になれとか思ってた私にとっては最悪の天気だ。
あの日、三浦くんのおかげで借り物競争に決まったはいいけど、やっぱり体育祭じたいは好きになれない。
中学のときも、なんとか自分に出来るものを探してやり過ごしてたし、なにより愛里が守ってくれてたからこんなに不安じゃなかった。
それに高校生にもなると男の先輩なんて大人みたいに背も高いし、声も低かったりしてちょっと怖いくらいだ。
競技の合間に行われる応援合戦もみんな張りきっていて、応援団になっている人たちはみんながキャーキャーいうほど人気があった。
隣の愛里は彼氏がいるって言うのに、アイドルを応援するファンみたいにお気に入りの先輩がいるらしく、すっかり舞い上がってる。
私は、自分の競技の順番が回ってくることばかりに気を取られて、それどころじゃなかった。