初恋マニュアル
そう聞かれて隣でさらっと答える三浦くん。



「三浦です」



「数字は三てことですね?はい、ではお題クリアです!ありがとうございます!おつかれさまでした!」



ワッと拍手が起こり、そのあと三着の旗を持った係の人が私たちを誘導してくれる。


私はまだ息が整わないまま、連れて行かれたその三着の列に三浦くんと一緒に並んだ。



ーーそっか、名前に数字ってそういう意味だったのか……



酸素の行き渡らない頭でぼんやりとそんなことを考えていると、三浦くんが心配そうに私をのぞきこむ。



「大丈夫?俺、すごい無理やり引っ張ってきちゃったけど」



そう声をかけられて、私は心臓を押さえながらコクコクとうなずいた。



「あ…りがと……ちょ…とまだ息……」



ハアハアとあがる息の合間になんとか話そうとするけど、なかなか続かない。



「いーよ、しゃべんなくて、ごめん」



その瞬間、私の背中を三浦くんの手がさすってくれるのを感じてビクッとなった。


新たな心臓のドキドキが加わる。
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