初恋マニュアル
そっと後ろを振り返ってみると、三浦くんはもうほかの男子と普通に話してて、特にさっきのことでなにか言われてる様子もない。



――よかった……



ホッとしながら前を向くと、隣の愛里と目が合った。



「さっき、三浦くんと走ってどうだった?なんかしゃべった?」



体をピタッとくっつけて小声で聞いてくる愛里は、なんだかすごくうれしそうだ。



「……どうって、もう必死だったからそれどころじゃなかったよ」



早くこの話題から逃げたくてそう言ったのに、愛里はやめてくれそうにない。



「いや~美羽が紙もってこっち走ってきたときはどうなることかと思ったけど、まさかお題があれだったとは。すっごいぐうぜんだよね?もうほかの人の名前とか浮かばなかったもん」



たしかに、ほかにもさがせばだれかいたのかもしれないのに、愛里は迷わず三浦くんを呼んだ。


それがぐうぜんなのかわざとだったのか、いまとなってはもうどっちでもいいんだけど。



「三浦くんもさ、競技決めるとき助けてくれてたから、きっと気にはなってたんだろうね?」



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