初恋マニュアル
「それが相手、大学生らしいぜ?」
「おわっ!じゃあ須藤ってもうキスとかしてんのかな?」
「だろうな?いろいろ経験ずみだろ?絶対」
「うっわー、俺たちだってまだ経験ないのに、やべぇ」
「俺、今度から須藤のくちびる、めっちゃ見ちゃいそう」
「いや、俺は経験者なら教えてもらいたい」
「ばーか!お前じゃ相手にされねぇよ!」
「あ、やっぱり?」
ギャハハハ……
――ど、どうしよう……今さら出ていきづらい。
しかも愛里の話題だし、なんか男の子特有のそっち系の話もしてるし……。
声の感じから、三人くらいかもしれない。いつもこの時間に教室に人なんかいないのに……。
雨で中止になった部活の人たちかな?
どうしようかとおろおろしている私の耳に、聞き覚えのある声が入ってきた。
――えっ、うそ!この会話の男子たちの中に、三浦くんが?
まるで想像がつかなくて、私は思わず聞き耳を立てた。