初恋マニュアル
わかってはいても自分からは理由なんて言いたくない。



「あんたさぁ、最近どうしたのよ?ここ一ヶ月くらい、男子への態度があからさま」



あの日から、私はかたくなに男子と話さなくなった。


話さないだけじゃなくてさけてたって言ったほうがいいかもしれない。


三浦くんのおかげで少しだけ、男子に話しかけられてもうなずくくらいにはなっていたのに、中学のころに逆戻りだ。



「……わかってる」



自分でもわかってるからこそ、愛里には言われたくなかった。だけどそんな私に追い打ちをかける。



「前はもう少しくだけてたでしょ?話とかしなくても表情とかさ。それに三浦くんにまで話さなくなっちゃったよね?」



コクンとツバをのみこんだ。


そんなつもりはなくてもあの一件以来、男子が近づいてくると体がビクッときんちょうするのだ。


あのとき話してた内容が頭に浮かんで、どうしてもうちとけられない。


三浦くんに関しては、他の男子とはちがう理由だったけど、はたから見ればみんな一緒だと思われても仕方がなかった。
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