初恋マニュアル
「えぇ、どおしよぉ……」
途方にくれて私はおろおろと視線をさ迷わす。
愛里はそれでも部活に入る意思を変える気はないみたいで、ごめんね?とだけ謝った。
「じゃ、じゃあ、私……愛里が部活終わるまで待ってる」
いろいろ考えた結果、それが一番いい方法だと思った。
少し帰りが遅くなるだけだ。
教室で宿題でもしてればいいかなと思う。
だけど、愛里の答えはそれを否定するものだった。
「ごめん、美羽……
待ってられると落ち着かないし、悪いけど先に帰ってくれる?」
「え……でも……」
ショックだった。
ずっと一緒にいてくれた愛里に拒絶された気分になる。
「美羽はそろそろ私がいなくても行動できるようにならなきゃ
高校生なんだよ?いつまでも私の後、くっついてるだけじゃダメだと思う」
「愛里……」
「やだ、泣かないでよ
別に美羽のこと嫌いになったわけじゃないんだから
ただ、美羽にも自立してほしかっただけ」
愛里にそう言われてはじめて、自分が泣いてることに気づいた。
「ごめっ……」
教室で泣くなんて……私はバカだ。
愛里が困ってる。
心細い気持ちになりながら立ち上がると、急いで教室を出た。