初恋マニュアル
やっぱり食いつくのはそこらしい。



「えへへ、偶然なんだけどね？」



照れながらそう言うと、愛里の顔がほんの一瞬、くもったように見えた。



「……愛里？」



心配になってそっと呼んでみると、愛里はもういつもみたいに笑いながら、そっかぁ、それで？なんて続きを聞いてくる。


みまちがいだったのかな？とホッとしたけど、なんとなくモヤモヤした気持ちは残ったままだった。


三浦くんとお茶を飲むことになったいきさつを話しながら、愛里の顔色をうかがう。


けれど愛里はずっと笑顔で、私の話に耳をかたむけてくれていた。



「三浦くんて……けっこう、積極的なんだねぇ？奥手の美羽を、有無を言わさず連れてっちゃうんだから」



「うん、私もちょっとびっくりした」



「それで？なに話したのよ？」



そう聞かれて思い出した。


考えてみたらあのとき話したことって、私が男子をさけてる理由だったのだ。
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