サクラサク
いつも、一緒
朝、小鳥のさえずりがかすかに聞こえてきた


私はそんな小鳥のさえずりを静かに聴きながら、前髪をいじって時間を持て余した。

ここは私の家の前。どうしてここにいるのかというと…。

「おはよ、里奈」

そうやって、1人の男が眠そうに私の前にやってきた。

彼の名前は仲川大輝。私の幼なじみ。

そして私の名前は松原里奈。

「おはよ!…ってか、また夜更かししてたでしょ?」

そう言って、私は歩き始める。大輝もあくびしながら私の隣にきた。

「しょうがないだろ、悟史の奴がやろーってうるさかったんだから」


悟史っていうのは大輝の親友。

だから私もよく話す。


「悟史ってほんとゲーマーだよね、私も何回か誘われたしさ」

たわいもない会話。


でも、私にとって、とっても大切なんだ。

きっと、気づいてないだろうな。


私が大輝のことを好き、なんて。


いつも歩いている通学路。



昨日のこと、今日の授業のこと。

大輝と話しながら歩くと、学校までの道のりがとっても短く感じられた。

「あー!今日の宿題、やってくんのすっかり忘れてた」


学校の門が見えてきたと思ったら、大輝がそう言って立ち止まった。

「大輝、ゲームなんかやってるから忘れるのよ!」

呆れるような口調で、私はそう言った。


「だってよーっ、悟史が!お願いだ、里奈。宿題写させてくれ!今日あたるんだよ!」

「もー、その代わりジュース奢ってよね!」


「おっ、さすが!」


こんなやりとりも、私にとっては嬉しいんだよ。


頼りにされてるってことだもんね。



すっかり気分を良くしたのは、私だけじゃない。


大輝も、気分を良くして再び歩き出した。



さあっと吹く風はそんな私達を見守るように、優しく通り抜けて行った。



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