浅葱色の鬼

歳三

消えた紅音の温もりを忘れられず


呆然と部屋で座ったまま



「土方さん!行くぞ!!」



永倉が呼びにくるまで、戦の事を
忘れていた



「すまん」


「ったく!どうしたんだよ!」


「……永倉 蒼はどうした」


「は?」


「蒼は、連れて行かないのか!?」


「あおって何だ?」





紅音が消えたことで、蒼の事も
皆の記憶から消えてしまったようだ





大阪で合流し、江戸へ



たくさんの仲間を失った

新しい仲間も増えたが

友と呼べる近い関係には、なれなかった



いつの間にか



俺のまわりには、試衛館からの友は
いなくなった








今の仲間も誇りに思う



ただ、新選組を拝命した

当時のような気持ちにはなれなかった






なぜ、戦っている?

何のために?











俺は、ただ









紅音を守りたかっただけだ






紅音と…






夫婦になりたかった



































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