浅葱色の鬼
「この2人は、無理だ
小傷は治療しない
後遺症が残りそうな奴だけ治そう
蒼、永倉の手を治せるか」

「にゃん!」

「え!!蒼も治せるのかよ!
すげぇー!猫とちゅーは、ちょっと
緊張すんなぁ!!」


なぜだか嬉しそうな永倉が
口を尖らせて目を閉じる


「にゃっ?」


首を傾げた蒼

「ほっとけ…治療をしろ」

「ペロペロ ペロペロ ペロペロ」


蒼が永倉の傷を舐めると傷が消えた


「なんだよ!ちゅーじゃねぇのかよ!!」


永倉が蒼を抱き上げ、撫で回す

永倉の腕の中で蒼は、スヤスヤ


なぜ、残念がっているのかは、わからんが

紅音は、藤堂の額の傷を治すことにしたようだ



「土方… 私は、死なない
私への治療は、傷跡がのこるからするな
それと、しばらく寝るが心配ない」




と、前置きして


白い右腕を出した


藤堂の傷に腕をあて、擦るように動かすと
藤堂の額から、傷が紅音に移った


山崎が縫った傷跡が藤堂にあるが

傷は、紅音の腕



「ううっ ったぁ…ふぅ ふぅ」





紅音が痛みに顔を歪めた



「紅音!!」


「だから… 心配いらない」




痛みしか感じない

痛いのは、嫌い


なのに、俺が口づけはダメだなんて
我が儘言ったから



「紅音…」


「ん?」




うとうとし始めた紅音を
俺は、自室に抱えて歩く



「俺に痛みを癒す力があればいいのにな」




紅音を布団に寝かせ

口づけをする




「ふふっ おかしな奴」




綺麗な顔は、笑うと幼いくらい可愛い


スヤスヤと寝息が聞こえ

時々、痛みに魘されるが

2日もすれば目を覚まし



「何でお前の布団なんだ
お前が寝れないじゃないか
まさか、また寝てないのか?」


「寝てた
紅音が細いから抱きしめると丁度いい」


「他に後遺症の残りそうな奴いるか?」




なんとなく

駄目だろうと思ったが
紅音を山南さんのところに連れて行った



「すでに治った怪我は、無理だ
でも…みせて」



山南さんが上半身裸になる


肩にある大きな傷を紅音が撫でる


「痛みが和らぐねぇ」


「生きているのが奇跡のような怪我だな
痛むなら暖めろ、冷やすな」


「感覚があまりないんだよ」


「私もない
だが、温めるといいらしい」


「紅音の手は、暖かいから
痛みが和らぐのかな
なるべく暖かくするよ、ありがとう」


「役に立てなくてすまない」


「いいえ ありがとう紅音
土方君も、ありがとう」




山南さんが刀をふれなくなって
もうすぐ半年



山南さんの復帰を望んでいるのは
俺だけじゃない




「土方… 山南は、刀など振れずとも優秀だ
お前には、考えも及ばぬようなことも
山南は考えている」


「例えば?」


「上ばかり見て浮ついているお前らを
しっかり地に足つかせているだろう」


「…なるほど」




紅音の観察力は、なかなかだ









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