浅葱色の鬼
山崎が紅音をつけていく


紅音が自分の社に入ろうとすると


「梅結乃…行くとこないんちゃう?」


「つけてきたの? …疑い深いのね!
私の事は、ほっといてよ!
新選組と関わりたくないの!」


「嫌やろけど、心配してんねん
ちゃんと送り届けるんが、俺の仕事や
こないな廃墟に入ろうとしてたら
そら、止めるやろ!」


「私がここで下敷きになって死んだとしても
あなたには、関係ないでしょう!」


「あるんやって!
眉間にこんな皺寄せてた人に怒られる!」


「怒られたら!?
私には、関係ないから!」


「関係あるて…
もう、名前も知ってる
そういう人を失うんは、嫌なものや
俺 山崎烝 宿、とったるさかいな」


「良いって!!
ここ!私の家なの!
私は、ここで生まれ育ったの!
この家は、私を押しつぶしたりしないから
どうぞ、安心してお帰り下さい!」


山崎が社をジロッと見る



「や……あかんやろ
今にも崩れそうやで…
ホンマに… 我が儘言いなや」


「新選組の世話には、なりたくないの!」


「新選組やなかったらええのか?
この様子やと、家族もおらんのやろ
こんな時に、頼れる人もおらん
せやのに、意地張ってええことなんか
1つもないんやで?」


「私に説教しないで!」


「ええから!ついてこい!」



山崎に手を引かれ、連れてこられたのは
山崎がよく潜伏するのに使う置屋



「女将~!
すまんけど、この子雇ってくれへん?」


「は!?私を売りにきたの???最低!!」


「アホ 裏方や!
掃除とか、洗濯とか出来るやろ?」


「あら!綺麗な子やね?
裏方なんて、勿体ないなぁ~」


「やだ!私は、大阪に行く!」


「今日は、無理やし
資金調達してから、行けばええ
たまには、人に甘えることもせえ
ほな!女将、頼んだで!!」


「ちょっと!!私は…」


「へぇ!任せて!
山ちゃんも、また手伝いよろしくね!」


「あいよ!」






女将が、紅音の肩に手を置いた





「今日は、一晩ゆっくり休んでええよ
明日、働くか出て行くか
無理強いは、しまへんよ」



「ここが嫌とかじゃないですよ!
新選組と関わるのが嫌なの!
一晩、お世話になります!
明日…出て行きます!」



女将は、にこりと微笑むと




「世間さんの噂ほど、悪い人らやないよ」




紅音に休む部屋、食事と布団が用意された









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