浅葱色の鬼
女将さんの怪我が治ったので

私は、置屋を出ることにした



「ずっといてくれてええんよ?」



女将さんの気持ちは、凄く嬉しかったけど
私には、新選組との縁が
まだ怖く感じていた

もしも、私のせいで


新選組の皆に災いがあったら大変



「お世話になりました」









新選組との縁から逃げる為

新選組への挨拶をせず
京を出ようと思ったのに


「よぉ!梅結乃!」

「梅結乃さんだぁー!!」



巡察中の原田さんに会ってしまう



なんだかんだと、話をして
原田さんと別れてすぐのこと





「土方副長からの使いの者だ
ついてきてくれ」




新選組にこんな人、いたかな?

なんだろう…



とある屋敷の廊下を歩く



「土方さんは、どちらに?」


「まぁ焦るな」



真っ昼間の屋根上に
山崎さんをみつける



もしかして?



トンッ 



背中を押され、部屋に入れられると
すぐに縄をかけられた


「騙したの!?」


パンッ



左頬が熱く、ガンガンと痛む


「静かにしてろ…」


男の手が、私の着物に触れた


「何… やだ! 何するの?きゃあ!!」





新選組は、敵かもしれなかった私に
こんなことしなかった

食事を出してくれたり

話し掛けてくれた

縄をかけられたけど、痛くなかった




どうして… 




何で、私がこんなめに…




いやだ…



痛い



痛い



痛い











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