浅葱色の鬼

歳三

山崎から、梅結乃が捕まったと知らせを
聞いてすぐ


その屋敷に向かった



どの部屋に囚われているか

聞く前に、なぜだか

俺には、わかった





「梅結乃!!」





勢い良く襖を開けたが
梅結乃の姿に、怯んだ

裸にされていれば、何をされていたのかは
想像がつく、抵抗したからだろう
全身は、痣だらけになっていた

必死にたぐり寄せた着物をヨタヨタしながら、着ようとする


「すまねぇ… 遅くなって…」


「来ないで!!」


「っ!!」


梅結乃の目には、殺気があり

近づけなかった





「土方さん、ひとり残らず捕まえたぜ!」



永倉が報告に来たとき




ふらりと俺の横を通り抜け
梅結乃が部屋を出る


「おい!」


「触らないでっ!!
ひとりで帰れる!!」



ずんずんと歩いて行く梅結乃を見て
永倉が俺を覗いてくる



「ここは、俺が仕切っとく
いってやれば?」


「……永倉
すまん!任せた!!」





今、屋敷を出たはずなのに

走って置屋に来るまでに、追いつけないなんて、おかしいと思ったが



「梅結乃やったら、今朝
大阪に行くって、ここを出たんよ」


「そうか、用事があったんだが…
もし、戻ったら報せてくれ」


「へぇ」




……どこだよ





嫌な予感しか、しねぇ










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