浅葱色の鬼
たくさんあった書物を
藤堂と読み終え

それらを燃やした


火を見つめ藤堂は、また泣いていた


「泣き虫だな」


「だってさ…」


藤堂は、ぐっと唇を噛み締めた


「〝としさん〟に触れたいんだ」


藤堂の瞳が、私へ向かった


「違った 生まれ変わった土方に
触れてみたい」



わざわざ訂正した
私の目を見つめ、藤堂が言った



「人になるの 待ってくれない?
紅音の望みを叶えたいと思うよ
でも、紅音がいなくなったあと
土方さんは、また荒れてしまうだろうし
笑わなくなって、自分を抑えられなくなる
見てて辛いんだ
苦しんでいる…土方さんの姿
2人共を幸せじゃないと
駄目だと思うんだ!
俺は、紅音も土方さんも大切だからさ!
命がいたとこを捜そうよ!
何か他に方法があるかもしれないよ!」





泣き虫の目は、力強い男の目に変わっていた



「手伝ってくれるか?」


「もちろんだよ!皆にはさ
春じゃないと駄目だったとか
俺から言っとく!
俺の非番は、紅音と一緒に外出させて貰う
支度がいるとか言えばいいし!」


「藤堂 ありがとう」


「礼なんて言うなよ!
まだ見つかってないし
それに、仲間なんだ!当然だろ!!」




胸の奥が、凄くあたたかく感じた


〝仲間〟 


私は、新選組の仲間なんだ…




言われて初めて意識する




私は、まだ記憶がないまま




〝としさん〟の記憶で
心が動いたが





1度、冷静になるべきだ



藤堂の言うことは、正しい













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