浅葱色の鬼
紅音が足を怪我したことは、全員が知るところ

洗濯をすれば、平隊士がこぞって手伝いにくる


繕い物をしていれば


代わろうと言いにくる




「良く笑うようになったな」


「そうだな 歳、お前もな」



土方と近藤が、紅音を遠巻きに見ながら
目を合わせ、笑う



「紅音がいてくれたら、俺は落ち着いてる
俺は、ずっと後悔していたんだ
後悔を消す為に、紅音を忘れずにいたんだと思うんだ
生まれ変わった今の俺なら
紅音を幸せにしてやれる!」


「過去の話を聞かせてくれるか」


「ああ といっても、俺も過去は所々しか
記憶にないんだ」



場所を変え、近藤の部屋へ





「初めて紅音に会ったのは、梅の木がある
神社だった
あの時も… 俺は、紅音に一目惚れをした
約束はしていなかったが、毎日会って
話をした
戦に行くことになった日
紅音に梅の簪と俺の気持ちを伝えたんだ
紅音は、すごく喜んでくれて
その時…
紅音が命だってことを知ったんだ
あれ… 俺…」



「どうした?」


近藤が土方の背中に手を当て
ゆっくりと擦る



「紅音が命だと知って…
それで…
夫婦に慣れないって、想って
なんで、そう思ったのか…
…っ なんで… こんな胸が…
苦しいんだ…」



「歳 きっと、それが紅音が変わった切っ掛けだろう
紅音自身も記憶してないようだが
記憶を消すと入れ替わるとみている
もしも、人になりその切っ掛けを思い出した時
俺は、その時を心配している」


「かっちゃん…」



「俺は、俺で推測をしてみる
思い出したことがあれば、言ってくれ」


「ああ かっちゃん…
俺は、紅音の事になると
どうも…」



「紅音は、藤堂と何か調べているようだから
いつか、同じ問題にたどり着くだろう
何事もなければいいがな」











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