浅葱色の鬼
「きゃあーーーーーー!!!!!」


翌朝


俺の腕で目覚めた紅音は、屯所どころか
周辺の家まで聞こえそうな
盛大な悲鳴をあげ

強烈な平手を俺に送り


駆けつけた幹部らの慰めも無駄


女中達が出勤するまで、泣いた


事情を知っている女中達から
ギロリと変な目で睨まれ


早くも、極悪人に認定された



「ハッハッハッ!これは、傑作だ!!!」




近藤さんは、俺の頬を大笑いした






朝餉が終わると


「あの……すみませんでした」


水に濡らした手拭いを差し出し
紅音が頭を下げた


「気にするな」


手拭いを受け取ると


「……」


紅音が俺を見つめてくる



「気にするなって」


「私、土方さんの妻なんですよね?」


「んあ???」


「女中さん達から、教えて貰ったんです!
夫婦だから、一緒に寝てて当然だと
…すみません
私ったら、確認もせず叩いたりして…
なんだか、ぼんやりしてて
大切な事なのに、忘れてしまうなんて
本当にすみません」


不思議だった

口調の違う紅音なのに
記憶が消えたはずなのに

全員の名前が言えて
日常生活は、普通に今までと変わらない



女中達に、聞くと

「なんだか、可愛くて
夫婦って言ったら、信じるし
面白くて!!」



完全に騙された紅音は、俺の世話をする



「良かったじゃないか!夫婦になれて!」


「まあ…な…」



騙している気がしないでもないが



「あの…布団は、1つ///なんですよね?」


「ああ」



俺が紅音を想っていることは、真実



勝手に舞い上がって照れる紅音も可愛い




「優しくして下さい/////」






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