浅葱色の鬼
「紅音 どないしたん?」


「あ… えと、庭を見てます!」


「今日の巡察当番、誰やった?」


「え… 誰だったかな?あははっ」










日々の紅音の様子、この会話で
山崎が、確信したことを
幹部らに伝えた


「記憶が無くなっていますね
多分… 皆の顔わかるのに、名前が
出えへんくらい
紙も日に何度も確認してます
本人も、自覚があるようで、誤魔化したりします」






土方が、紅音のところに行く

そっと紅音の様子を伺うと



「外出禁止 外出禁止 外出禁止 うん!」



紙を確認して、ニコニコと庭を見つめ


しばらくすると


紙を出し


「外出禁止 外出禁止!」



「紅音」


「あ… はい!何ですか?」


「一緒に出掛けるか?」


「……いえ、私はここにいます」


「何で、外に出たらいけないか
……わかるか?」


「……ま、迷子になるんでしょ!
私、おっちょこちょいだから!あははっ」


明るく振る舞う紅音を抱きしめ


「俺が、なぜこうしていると思う?」


「私が、妻だからでしょ」


「俺の名を呼んでくれるか?」


「……どうしたんですか?
急に……変なの!」


「紅音」


「はい」


「皆で、島原に行こう」


「島原?」


「ああ 酒、好きだろ」


「私……お酒が好きなの!?
行きたい!飲んでみたい!!」


「ああ 行こう」


「ふふっ 嬉しい!」






幹部らを集め、土方は頭を下げた


「紅音を楽しませてやりたい
頼まれてたんだ
楽しみが、永遠に続くと思わせてくれって
何もかも忘れてしまっても
楽しませたい
紅音には、1年もない
なのに、俺に出来ることなんて無くて
皆に、力を借りたい!」



「水くさいことを…
頭なんて、下げるなよ!」


「そうですよ!
僕も看病の恩返しをしたかったんです!」


「俺も、おまさと茂の面倒見て貰った礼を
まだしてねぇもんな」


「俺は、蒼が紅音を楽しませてやりたいみたいだから
蒼の為に行動するぜ!」


「新八、素直じゃねぇなぁ」


「るせっ」


「皆!ありがとう!!!」






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