英雄は愛のしらべをご所望である
知りたい欲求
王都を横切る大きな川。それは、時に人々の生きる源となり、時に癒しの場となる。
昼間は舗装された川縁を家族や恋人たちが思い思いに歩いており、セシリアもまた景色を楽しむ目的でたまに訪れていた。
けれど、夜に訪れることはあまりない。街灯があるとはいえ、薄暗く危険な上に、あまり関わりたくない者たちにも遭遇しやすいからだ。
だから、セシリアは現在の己の状況に困惑していた。
「それじゃあ、よろしく頼むよ」
そう言って川縁に座り込んだのは、塀を上ってこようとした色気駄々漏れの赤みがかった金髪をした男。名前はリースというらしい。
身に纏っている服は誰もがよく着る一般的なものだというのに、仕立ての良いものに見えるのは、仕草の一つ一つが美しいからだろう。
「……本当に、やるんですか?」
セシリアは大切そうに抱き抱えているハープをギュッと握りしめ、チラリと斜め後ろに立つウィルへ視線を向けた。
助けを求めるセシリアの眼差しに気づいているのか、いないのか。この状況を作り上げた張本人であるウィルは表情を全く変えない。
セシリアは堪らず大きな溜め息を一つ落とした。
昼間は舗装された川縁を家族や恋人たちが思い思いに歩いており、セシリアもまた景色を楽しむ目的でたまに訪れていた。
けれど、夜に訪れることはあまりない。街灯があるとはいえ、薄暗く危険な上に、あまり関わりたくない者たちにも遭遇しやすいからだ。
だから、セシリアは現在の己の状況に困惑していた。
「それじゃあ、よろしく頼むよ」
そう言って川縁に座り込んだのは、塀を上ってこようとした色気駄々漏れの赤みがかった金髪をした男。名前はリースというらしい。
身に纏っている服は誰もがよく着る一般的なものだというのに、仕立ての良いものに見えるのは、仕草の一つ一つが美しいからだろう。
「……本当に、やるんですか?」
セシリアは大切そうに抱き抱えているハープをギュッと握りしめ、チラリと斜め後ろに立つウィルへ視線を向けた。
助けを求めるセシリアの眼差しに気づいているのか、いないのか。この状況を作り上げた張本人であるウィルは表情を全く変えない。
セシリアは堪らず大きな溜め息を一つ落とした。