STRIKER
Prologue

 世界中のどんな都市を覗いても、「日本ほど平和な国は何処にも無い」と人々は口を揃えて述べる。

 
 テレビの電源をひと度入れれば、どの放送局も決まった時間にニュースが流れる。


 しかしチャンネルを幾ら変えても、画面に写ったキャスターはテレビの画面を眺める者がたとえ嫌が応であろうと事件が報じられるのだ。


 事件の無い国など・・・

 事件の無い世界など・・・


 一体、何処にあるのだろうか。


 未成年の私がスカートを翻して授業から抜け出し、高校の屋上で赤マルのラッキーストライクを一本口に咥えて煙を吹かす事は、毎日新しい事件を報じるニュースの内容と比べれば何て些細な事か。


 私に与えられた名は"STRIKER"(ストライカー)。


 この名を聞いた者は、誰もが「何の遊びだ?」と尋ねて私を嘲笑う。


 
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