クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「ゆっくりでいい。私に全部預けてくれ」
レオンはマリアンヌの髪を優しく撫でた。
「……私は、レオン様にお会いした時からそうしています」
国同士が決めた結婚だとしても。ほかの女性に想いを寄せたまま、レオンに愛されないとしても。それでもレオンのそばにいたいと心から願っていた。レオンに笑顔を取り戻してほしいと。全力でレオンに向き合ってきた。
レオンは鼻から息を漏らすようにして笑うと、「そうだったな」と呟く。
そして、抱きしめていたマリアンヌをそっと引きはがした。
「マリアンヌ」
レオンが表情を引き締める。
「冷たくあたってすまなかった」
「――いえ、そんなこと」
マリアンヌは慌てて首を横に振った。レオンに謝らせるなど、とんでもないと思ったのだ。