クールな王太子の新妻への溺愛誓約
アーチを抜けたところでマリアンヌがふと足を止める。
「この色、とっても綺麗」
ロゼット咲きで紫と赤の中間色のバラが見事に花開いていたのだ。
「ポートランドだ。濃厚な香りを備えている」
レオンの説明を聞きながら、マリアンヌは伸ばした手を反射的にすぐに引っ込めた。
「――痛っ!」
棘に触れてしまったのだ。
「大丈夫か?」
レオンがマリアンヌの手を掴み、躊躇いもせず彼女の指先を口に含んだ。
「――レオン様!」
咄嗟に引き抜こうとしたものの、レオンに阻まれた。
マリアンヌの全神経が一本の指に集中する。