クールな王太子の新妻への溺愛誓約
企みの果てに


その夜。クレアはレオンに伴われて、国王であるアンニバーレに謁見していた。七年前に亡くなったと思われていた、タカ
マッサの姫だと報告するためだ。


「まさかマリアンヌ殿が、あのクレアだったとは」


アンニバーレとマティルダは揃って口をポカンと開き、驚きを隠せない様子だった。
失っていた記憶を取り戻したので、クレアとしてレオンと結婚したいと申し出ると、ふたりは快く賛成してくれた。


「それにしても、クレアとまたこうして会えるとは思いもしなかったな。亡くなったタカマッサの国王との約束をこれで果たせるというわけだ」


タカマッサの国王とは、クレアが生まれた当時からお互いの息子と娘を将来は結婚させようと約束していたそうだ。

すっかりついえたとばかり思っていた約束が、今まさに結実する。アンニバーレは感慨深そうに目を細め、レオンとクレアを見つめた。


それから二日と経たないうちに、マリアンヌが実はタカマッサのクレアだったという話は広まり、王宮内の皆の知るところとなった。

< 227 / 286 >

この作品をシェア

pagetop