クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「レオン様はもしや、今回の結婚がお気に召さないのでしょうか……?」
単なる人見知りでは済まされない拒絶反応をレオンから感じたからだ。
そもそも人見知りなのかもしれないというのは、マリアンヌの希望的観測でしかない。自身はレオンとの結婚を夢に見て、会えるのを楽しみにしていたから。その相手であるレオンに拒絶されているとは考えたくなかった。
レオンがゆっくりと振り返る。表情のない顔だった。美しいからこそ余計、血が通っていないように見える。
「結婚は国の利益を守るためのもの。気に入るも気に入らないもない」
どうでもいいと言われたようだった。
マリアンヌの心が沈み込む。やはり歓迎されていないのかもしれない。そう思うと、ひどく心細かった。
レオンの姿が視界から消えると、マリアンヌは大きく息を放った。いつの間にか全身に力が入っていたようだ。
ベティは、マリアンヌの一歩後ろで呆けたように突っ立っていた。
「マリアンヌ様、今のお方がレオン殿下なのでございますよね……?」