クールな王太子の新妻への溺愛誓約
レオンがゆっくりと剣を下ろしていく。そして完全に剣の切っ先が下を向いた時には、その表情から殺気が消え去っていた。
「レオン様、ありがとうございます!」
ホッとすると同時に、クレアの足から力が抜けていく。立っていられなくなり、その場に崩れ落ちそうになったクレアをレオンがすかさず抱き留めた。
「クレア! 大丈夫か!?」
「……はい、私は大丈夫です」
レオンの腕の中で息を吐き出しながらクレアが答える。
「頼むから、無茶なことはしないでくれ」
レオンの切実な声がクレアの耳に響く。
「申し訳ありませんでした……」
クレアは、今さらながら自分のしたことの恐ろしさに体が震えた。
あの時は、マートとその侍従の注意を逸らすことに必死だったのだ。ああでもしなければ、剣を置いてしまったレオンを救えなかったかもしれない。