クールな王太子の新妻への溺愛誓約
育ての親である国王夫妻の愛も計り知れないが、ベティもそれに劣らない。
クレアは、つられて泣きそうになるのを必死でこらえた。せっかく綺麗に仕上げてもらったメイクが崩れてしまわないように。
「それにしましても、レオン殿下とクレア様との絆の深さを改めて感じてしまいます。奇跡的な再会を果たされ、こうして再び愛し合われて。きっと、どなたであろうとおふたりを裂くことはできないでしょうね」
ベティは感慨深げにクレアを見つめた。
幼い頃に取り交わされていた結婚の約束。記憶を断たれ、別の女性として人生を歩んでいたクレアを、何年もの時を経て神は再びレオンに引き合わせた。
「これで私も、安心してピエトーネへ帰ることができます」
「えっ……? 今、なんて……?」
鏡越しにクレアは目を瞬かせた。
ベティは確かに今、『ピエトーネへ帰る』と言ったようだが。
「クレア様の元でずっと侍女として仕えていたいのはやまやまなのですが、私の親もそろそろ高齢でございまして」