クールな王太子の新妻への溺愛誓約

王家の正装である紺碧色の軍服に身を包み、肩には金銀の刺繍が施されたサッシュをかけていた。
その姿があまりにも美麗だったので、クレアはその姿につい見入ってしまった。

レオンが一歩ずつ近づくにつれ、心臓は早鐘を打っていく。


「レオン殿下! クレア様はまだご準備が……!」


純白のドレスはかろうじて着ているが、ティアラなどの装飾品はまだ着けていなかった。


「どうか、別室でお待ちくださいませ!」


ベティが慌ててレオンを追いかけるものの、レオンはそれに構うことなくクレアの元へと急ぐ。おそらくベティの声など、耳に入っていないだろう。
レオンはクレアの前に立つや否や、彼女の手を取った。


「クレア……」


そう言ったきり、レオンは言葉が出てこない。


「……レオン様?」


クレアは小首を傾げてレオンを見上げる。

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