クールな王太子の新妻への溺愛誓約
ところがマリアンヌの心とは裏腹に、それからもレオンのマリアンヌに対する態度は代わり映えのないものだった。
宮廷内で偶然顔を合わせてマリアンヌが愛くるしい笑顔を向けようが、感情の感じられない眼差しが向けられるだけ。それも数秒のこと。勇気を振り絞って声をかけてみるが、レオンは足早に去ってしまう。
レオンの目にはマリアンヌの姿が映っていないのではないか。そう思えるほどだった。
そのたびにマリアンヌは、『結婚は国の利益を守るためのもの』と言っていたレオンの言葉を思い出す。つまりマリアンヌと心を通わせるつもりはないということ。
それをまざまざと見せられ、マリアンヌは立ち去るレオンのうしろ姿を悲しい目で見つめた。