クールな王太子の新妻への溺愛誓約
それに、レオンから『結婚はしない』と言われたわけではない。次期妃として堂々としようと自分を奮い立たせる。
「窓の外を見ていましたら、レオン様のお姿を見つけたので参りました」
マリアンヌは精一杯の笑顔を浮かべるが、レオンはその笑顔からサッと視線を外す。まるで興味がないといった様子が見て取れ、マリアンヌは戸惑った。
「もう遅いから、部屋へ戻るがいい」
レオンが足を踏み出し、マリアンヌの横を通り過ぎる。
(……レオン様、待って!)
心の中で叫ぶものの、声にならない。
だが、ここでレオンをこのまま行かせてしまったら、ふたりの関係に発展は望めない。マリアンヌは小さく息を吸い、意を決した。
「――レ、レオン様、明日の夜、お食事をご一緒していただけないでしょうか?」
いつまでもビクビクしているわけにはいかない。マリアンヌが努めて明るく伺いを立てる。
ところがそれに感化されることなく、レオンは淡々と言い放った。