クールな王太子の新妻への溺愛誓約

それに、レオンから『結婚はしない』と言われたわけではない。次期妃として堂々としようと自分を奮い立たせる。


「窓の外を見ていましたら、レオン様のお姿を見つけたので参りました」


マリアンヌは精一杯の笑顔を浮かべるが、レオンはその笑顔からサッと視線を外す。まるで興味がないといった様子が見て取れ、マリアンヌは戸惑った。


「もう遅いから、部屋へ戻るがいい」


レオンが足を踏み出し、マリアンヌの横を通り過ぎる。

(……レオン様、待って!)

心の中で叫ぶものの、声にならない。

だが、ここでレオンをこのまま行かせてしまったら、ふたりの関係に発展は望めない。マリアンヌは小さく息を吸い、意を決した。


「――レ、レオン様、明日の夜、お食事をご一緒していただけないでしょうか?」


いつまでもビクビクしているわけにはいかない。マリアンヌが努めて明るく伺いを立てる。
ところがそれに感化されることなく、レオンは淡々と言い放った。

< 31 / 286 >

この作品をシェア

pagetop