クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「好きにするがいいと言ったはずだ」


レオンはもう一度同じ言葉を繰り返した。
言い方にも表情にも優しさは感じられなかったが、夕食を一緒にしてくれるという約束だけで十分。フィアーコへ来てからの食卓はマリアンヌひとりが常だっただけに、嬉しさは隠せない。

侍女たちが壁際に控える中での静かな食事は、いつも賑やかだったピエトーネのそれとは大違い。食べる時には、厳かな雰囲気よりも和やかで楽しい方がいい。


「ありがとうございます!」


マリアンヌは、歩き出した彼の背中に喜びいっぱいの声をかけた。


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