クールな王太子の新妻への溺愛誓約

◇◇◇

「どれがいいかしら」


湯浴みを済ませたマリアンヌがドレスを胸に当て、ベティに首を傾げる。衣裳部屋から持ち出してきたドレスは、これで十着目だ。どのドレスも美しいがゆえに迷ってしまう。


「マリアンヌ様は色白ですから、そのお色はお肌がよく映えるかと存じます」


パトリシアもベティの隣で大きく頷く。

オフショルダーの薄いブルーのドレスは派手なデザインではないが、繊細なレースがとても美しい。デコルテを出すことで華奢な印象を与えられそうだ。バッスルを着ければメリハリも出せる。

ふたりの勧めもあり、マリアンヌはそのドレスに決定した。

(レオン様も喜んでくれるかしら……)

冷たい表情に笑みが浮かぶことを願いつつ、ベティが締め上げるコルセットの苦しさに声を漏らしそうになる。


「このくらいでいかがでしょうか?」

「……ええ、大丈夫よ」

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