クールな王太子の新妻への溺愛誓約
するとベティは顎を軽く引いて目を泳がせる。
「これはマリアンヌ様に言ってもよろしいのかどうか……」
ベティはどう説明しようか悩んでいるようだった。
「なあに? なにを聞いても驚かないから教えて」
マリアンヌにそう問われ、ベティは遠慮がちに目を合わせる。
「……レオン殿下は、フィアーコで“氷の王太子”と呼ばれておいでだそうです」
「氷の王太子?」
マリアンヌはオウム返しをして顔をしかめた。
(氷だなんて……。言い過ぎじゃないかしら)
「ええ。聞いた侍女、みなが口を揃えてそう申しておりました。類まれなる容姿だからこそ、余計に冷たい印象を与えているとも」