クールな王太子の新妻への溺愛誓約

◇◇◇

ベティとパトリシアを伴い、マリアンヌは夕食をとる部屋へとやってきた。十人が座れるほど大きなテーブルの真ん中に、向かい合う形で食器が置かれている。
レオンはまだ来ていなかった。

(レオン様、来てくださるかしら……)

約束はしたもののあまり乗り気ではなかったレオンの様子を思い返して、マリアンヌが不安に包まれる。心を開いてもらえるよう努力はするつもりだが、顔を見せてくれないことには難しい。

なんとなく落ち着かない気持ちで待つこと数分、侍従たちを従えレオンが現れた。
その途端、マリアンヌが生まれ持つ明るい雰囲気に溢れていた場に、ピリッとしたムードが漂う。給仕をする者たちも表情を引き締めた。


「お越しくださいまして、ありがとうございます」


笑顔いっぱいにマリアンヌがお礼を言うと、レオンは彼女を一瞥だけして腰を下ろした。そして、ひと言発する。


「約束を破るのは好きではない」


表情のなかったレオンの顔に影が差したようにも見えたが、マリアンヌはレオンが約束をきちんと守る誠実な人柄で嬉しかった。

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