クールな王太子の新妻への溺愛誓約

牛やうなぎのパテ、うさぎのシチューなど次々に料理が運ばれてくると、レオンとマリアンヌは早速食べ始める。
大きなカゴには白パンやロールパン、そしてマリアンヌの大好きな揚げパンがのせられている。

マリアンヌは喜々として揚げパンに手を伸ばし、すぐにかぶりついた。


「……おいしい」


ピエトーネで食べていたパンより生地が硬かったが、香ばしさはこちらの方が上だ。

他の料理のことを忘れ、そればかりを口に運ぶ。そうしてひとつをぺろりと平らげ、ふたつ目に手を伸ばしたところで、マリアンヌはレオンの視線に気づいた。


「揚げパンがそんなに好きなのか」


自分に興味のなさそうなレオンにまさか観察されていたとは思わず、マリアンヌはカゴからとった揚げパンを持ったまま固まってしまった。しかも、初めてレオンから話しかけられたものだから、恥ずかしさよりも嬉しさが勝る。


「はい! ピエトーネでも揚げパンばかり作ってもらっていました。あちらで食べていたものより、表面がカリッとしていて香ばしいです」

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