クールな王太子の新妻への溺愛誓約
満面の笑みで答えるマリアンヌに、レオンは「そうか」と真顔を崩すことなくひと言だけ返した。やはり笑顔はない。
その点に関しては残念だったものの、爪の先ほどでも自分のことを見てくれていたことにマリアンヌは心が弾む。
「レオン様は、なにがお好きですか?」
もっと会話を繋げたくてウキウキしながらマリアンヌが質問したが、レオンは「特にない」と答えるだけ。
「……そう、ですか」
弾んだ気持ちがあっという間に小さくしぼんでいく。
だがここで落ち込んではいられない。レオンに笑顔を取り戻させるのは自分の役目だと、マリアンヌは自分を鼓舞した。
「レオン様、今度街を案内していただけませんか?」
街へ行くのならレオンと一緒の方が国民も喜んでくれるだろう。それに、この国へ入ってから王宮まで、王族より先に国民に顔を見せないようにとの達しがあったため、馬車にはカーテンが掛けられたまま。街をまだこの目で見ていないのだ。