クールな王太子の新妻への溺愛誓約
ベティが目を丸くする。具合の悪かったマリアンヌが突然上体を起こしたのだから驚くのも無理はない。
ベティはマリアンヌをもう一度寝かそうと手を肩に添えたが、マリアンヌは「大丈夫よ」と制した。
「本当にレオン様が私を?」
「はい。椅子から崩れ落ちたマリアンヌ様に、全員がおおわらわでございました。そんな中、表情も崩さず冷静沈着にマリアンヌ様を抱きかかえ、こちらのお部屋まで」
レオンが自ら手を差し伸べてくれたことを聞き、マリアンヌは鼓動が大きく弾む。
(やはり、レオン様は氷の王太子なんかじゃないわ。本当に冷たい人間だったら、私が倒れようが構わないはずだもの)
嬉しさに顔が綻ぶ。
「ドレスを着て重量も増えているというのに、マリアンヌ様を軽々抱き上げたのでございます。その様子を見て、控えていた侍女たちも黄色い声を上げるのを堪えているようでございましたよ」
気を失っていたマリアンヌは、当然ながらその場面はまったくわからない。それでも勝手に頭の中で映像を作り上げ、ひとり胸を高鳴らせる。