クールな王太子の新妻への溺愛誓約
いったいなんだろうかと、マリアンヌが目を瞬かせる。
「マリアンヌ様とおっしゃいますと、王太子殿下のお妃となられるお方でございますか?」
「はい、その通りでございます」
マリアンヌがにこやかに答えた途端、そこにいた人たちから「わー!」という歓声が起こる。
「お妃殿下となられる方が直々に街へ足をお運びくださるなんて。しかも、こんなにお美しいお方だとは……」
メイと名乗った女性は、感激したように口もとに手を当てた。
「いえ、美しいだなんて」
マリアンヌが首を横に振る。言われ慣れない言葉をマートに続き言われ、マリアンヌはどうしたものかと戸惑ってしまった。
「マリアンヌ様、ようこそフィアーコへ!」
その場にいる人たちが口々に叫ぶ。
そのうちにそれが大合唱のようになり、マリアンヌは胸が熱くなった。