クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「ささ、こちらでございます」
メイに連れられてやってきたのは、さきほどの門から入り百メートルほど歩いて辿り着いた広場のようなところだった。周りを取り囲むようにして、いろいろなお店が立ち並ぶ。どの店も赤いとんがり屋根で統一されており、とてもかわいらしい街並みだ。
メイに引っ張られ、その中のひとつの店に入る。足を踏み入れた途端、香ばしい匂いが鼻をかすめた。
「わぁ、いい匂い」
思わずマリアンヌが漏らすと、「ちょうど白パンが焼き上がったところでございます」とメイがトレイに載せて持ってきた。
「ありがとう。いただきます」
ひとつを手に取り、遠慮なく口に運ぶ。ふわっとした生地は、昨夜食べたものよりずっと柔らかい。焼きたてだからなのか。
「おいしい」
マリアンヌが顔を綻ばせると、メイは続いて揚げパンを差し出した。
それを見て、マリアンヌの目がきらめく。