クールな王太子の新妻への溺愛誓約
メイは店の奥にいる人に声をかけ、袋を持ってこさせた。
「いえ、こんなにたくさんは……。お店が困ってしまうでしょうから」
メイは、ざっと十個も袋に詰めてしまったのだ。
「いえいえ、マリアンヌ様に喜んでいただけたのですから、これほどの光栄はありません」
メイは強引にマリアンヌに袋を押し付けた。
そこまでされて断るわけにもいかない。マリアンヌは、「ありがとうございます」といただくことにした。
「マリアンヌ様、次は私のお店にもどうぞ」
パン屋を出ると、すぐに別の女性に声をかけられる。今度は三十代そこそこの女性だ。
パンの袋をベティに預け、その女性の後についていく。
隣の店に吸い込まれていく彼女を追っていくと、そこは菓子屋だった。棚には、砂糖漬けフルーツのタルトやパイ、キプフェル、クレームブリュレが並んでいる。
甘い香りを吸うだけで、マリアンヌは幸せな気分になった。